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【ソライロ遍路紀行4日目-2】遍路ころがしを越えた先

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2016-03-25 17.54.08_ヘンロ小屋神山
※ソライロ遍路53日間の全貌、ツイートしきれなかった部分も余すところなく織り込んでます。

3月25日、お遍路4日目その2
お遍路最大の難所と言われる焼山寺を登り切ったことにより気持ちが楽になり、これからの先行きに対して楽観的な気分になっていたが、後から考えるとここまではこの長い一日の序章に過ぎなかったかもしれない。

4日目その1はこちら。
遍路ころがし焼山寺に挑む



杖杉庵へ
山を登ったあとは下らなければならない。登りはたしかに苦しいのだが、下りは苦しいというよりも痛い。足元が土になっていればまだましなのだが、大きな石がゴロゴロしていたりすると足裏への衝撃が増しとても歩きづらい。更に厄介なのが階段だ。お寺をお参りするお遍路さんが少しでも道を歩きやすいようにと整備してくれた階段なのだろうが、段になっていると足への衝撃がかえって大きくなる。最初は遍路ころがしを越えた高揚感が勝っていたが、だんだんと足の痛みで頭の中がいっぱいになっていた。

2016-03-25 14.13.56_焼山寺から下山中の遍路道

2016-03-25 14.36.26_梅


山道から舗装された道に出た。階段よりはましだが、アスファルトは足に優しくない。ひょっとしたら登りより時間がかかっているかもしれないくらいのスローペースでしか歩けなくなっていた。

車道に出て少し歩くと杖杉庵(じょうしんあん)があり、たまらず休憩をとる。

2016-03-25 14.38.58_杖杉庵


一応テントを張れるスペースがありトイレもある。

2016-03-25 14.39.49_スペースあり

2016-03-25 14.40.49_トイレ

ここにしようかなぁという考えが一瞬頭をよぎる。もう一度地図とにらめっこしてみる。焼山寺から約1時間、わずかに1.8キロしか歩いていない。この先に分岐があり、近道コースと少し距離は長いが比較的平坦で温泉があるコースに別れる。近道コースをいけば、あと5キロで遍路小屋がある。残りの体力でも5キロくらいなら歩けるんじゃないだろうか、、、なんとか遍路小屋までがんばって歩こう。


ちなみに杖杉庵は四国遍路にとって聖地のような場所であり、このような弘法大師と衛門三郎の像がある。

2016-03-25 14.41.22_杖杉庵お大師様と衛門三郎

衛門三郎とはお遍路さんの元祖として知られる人物である。弘法大師に無礼を働いた衛門三郎はそのせいで8人の子供を次々に亡くす。三郎は大師に許しを請うために四国巡礼の旅に出る。8年かけて20周まわっても大師には会えず、西暦832年(閏年)、十番札所切幡寺から逆にまわり十二番札所焼山寺麓でついに大師と巡りあう。衛門三郎はこの地で息を引き取り、墓標として三郎の杖を立てると杖から芽が出て杉が育ったことから杖杉庵と名付けられた言われている。



遍路ころがしを越えた先
杖杉庵のすぐ先に「12ばんお休み処」という休憩所を見つけた。お茶を飲む急須などが置いてあったが人が誰もいらっしゃらないので、一度ザックを下ろしたがすぐにまた歩き出した。

2016-03-25 15.30.52_12ばんお休み処

遍路小屋まで5キロと目標が明確になり気力は湧いてきてるのだが、いかんせん足が痛いので歩くスピードはあがらない。

おへんろ駅と書かれた看板、その前の大きなスペースがありトイレもある。

2016-03-25 15.40.44_おへんろ駅

2016-03-25 15.41.07_おへんろ駅スペース

ここにテントを張らせてもらえるならここでもいいなぁと思うが、まわりに人影が全くなく聞ける人がいない。この辺りで地元の人から野宿情報を仕入れておけば、この後の展開は違っていたかもしれない、、。

すぐ先にまた休憩所がありすだち館の看板もある。すだち館は比較的安い料金で泊まれる宿らしいが、昨日宿に泊まったばかりなので野宿遍路としては連チャンで宿に泊まるわけにはいかなかった。

2016-03-25 15.41.37_無料休そく所

しばらく続いていた下りがようやく終わったようで平坦な道になってきた。と思っていたら今度は上り気味の道に。気づいたら山道のようなに入る。少し歩くと林道に出た。アップダウンが激しいルートだと聞いてはいたがすでにだいぶ体力を消耗してしまった。もう一度林道から山道に入るところに座れそうな丸太があったのでたまらず腰を降ろす。休んでいると林道の反対側からお遍路さんが歩いてくる。「この先行き止まりにになってて、道がわかんなくなっちゃって、、」と言われたので、ここに登り口があることを教えてあげる。「焼山寺を越えたのに、きついっすね」と言われ激しく同意する^^w


2つの山に登って焼山寺から下りてきたのに、、、また山ってどういうこと??おかしいなぁ、、、おかしいなぁ、、、と思いながら、息は切れ切れ残り少ない体力で必死に登った。

2016-03-25 16.30.44_玉ヶ峠への遍路道


ようやく峠を越え下ってくると休憩小屋らしきものが。

2016-03-25 17.16.14_休憩所

しかし「この庵での宿泊はご遠慮願います」の文字が。それでも遍路小屋まであと1キロくらいだったのでがっくり感はなかった。

林道からは麓の集落や川が見渡せた。まだかなり標高が高い。

2016-03-25 17.45.05_林道から集落を見降ろす


17:30を回り少しあたりが暗くなり始める。道路脇の花が綺麗だったがのんびり眺めているヒマもない。

2016-03-25 17.31.00_桜

2016-03-25 17.49.54_ピンクの花


ようやく遍路小屋が見えた。ご近所の家で庭にいらっしゃった方にご挨拶する。今日はどこに泊まるのかと聞かれたのでそこの遍路小屋に泊まりたいと言うと、想定外の返事が、、、。ここの遍路小屋泊まれない、宿泊禁止だと言われてしまった、、、。ダメ元でこの辺りでどこか野宿をできるようなところはないか聞いてみるが、首をかしげられてしまう。

がっくりした思いで遍路小屋に到着。

2016-03-25 17.54.08_ヘンロ小屋神山


ブレて見にくいが「宿泊はご遠慮ください」とたしかに書かれている。

2016-03-25 17.54.14_宿泊不可


そういえば逆打ち先輩も「たまに宿泊不可の遍路小屋があるので、遍路小屋だけを頼りにするのは気をつけた方がいい」と言われたのを今頃になって思い出した。1日目、2日目と問題なく遍路小屋に泊まれていたので完全に油断していた。遍路小屋以外に候補を考えていなかったのが今回の敗因だ。

すでに18時近くになっている。本格的にまずい状況になってきた。野宿できそうなところがないか地図を眺めてみる。さっき林道から見下ろしたときに大きな川が見えた。これが鮎喰川のようだ。川まで出れば川岸や橋の下などでテントを張れるかもしれない。阿野郵便局の手前に橋があるので、ここの橋の下も有力候補だ。まだ山沿いの道が続くのでもし山側に入れそうなところがあれば、山に入ってしまったほうが野宿場所は見つけやすいだろう。暗くなってきているので周りが見えにくくなっているのが一番の懸念材料だった。

いつまでも遍路小屋で時間をつぶしていても仕方がないので重い腰をあげる。

遍路小屋の先の道路脇におばあさんがいて「お遍路さん」と呼び止められる。毎日ここに立ってお遍路さんに声をかけてお接待をしているそうで、、、お接待だからと100円をいただいてしまった。おばあさんからお金をいただいてしまうなんて、、なんというかとても申し訳ない気持ちだったが、お接待を断るのは失礼だと聞いていたのでお礼を述べていただいた。少しおばあさんとお話をする。ここの遍路小屋の土地を提供しているのがこのおばあさんだった。以前は宿泊もできたが、ご近所さんからお遍路さんを泊めないように言われて宿泊不可になってしまったそうだ。ハッキリとはおっしゃらなかったが遍路小屋に泊まったお遍路さんとご近所さんの間でトラブルがあったということなのだろう、、、おばあさんは悲しそうに言う「お遍路さんに悪い人はいないんだけどねぇ、、」と。


本格的に暗くなってきたのでヘッデンを装備する。

道の左側は山、右側は谷になっている。山側は急な斜面になっているところが多く入っていけそうなところはない。こういうときはとにかく野宿できそうなところがみつかるまで進むしかないだろう。

道は下り坂だったが足の痛みを感じないくらい気持ちの余裕がなくなってきた。気づけば焼山寺から下りてきたとは比べ物にならないスピードに。それだけ焦っていた。

坂道を下りきるまで左は山側の急な斜面、右は谷側の急な斜面という状況変わらなかった。川のあるところまで来たが川沿いにスペースは全くなく、テントを張れるような場所はなかった。もう少し歩くと集落のようなところに出た。公園や空き地のような場所もない。集落全体が見渡せるような感じで人目につきにくい場所は見当たらない。地図で目を付けていた阿野郵便局手前の橋の下もテントを張れるようなところではなかった。野宿に全く不向きな場所が続く。

集落を抜けるとまた山っぽい感じなってきた。右手に墓場があった。墓場ならテント1つくらい張れるスペースがありそうな感じだった。いっそのことここにテントを張ってしまおうかという考えがよぎる。どうしてもみつからなかったときの候補としておこう。

道路左手に草むらがあり空き地のようになっている。草むらの奥に入ってみるとテントを張れないこともなさそうだ。だが道路からは完全には隠れない。墓場よりはマシだったので一度ザックを降ろしたが、考えなおしてもう一度ザックを背負う。どうしても見つからなかったらここに戻ってこよう。

もう19時半近くになっていた。なんとかなるだろうという気持ちから、早くなんとかしなきゃという焦りが増してきていた。すでにこの状況を楽しむ気持ちは殆どない。このまま寝れる場所が見つからなかったらずっと歩き続けれなければならない。前に進めばいい場所がかもしれないという思いから、目を付けていた場所に戻る気には全くなれない。もういっそのこと道路の脇のスペースでもいいからテントを張ってしまおうか、、、本当にどうしようもなくなったらそうしよう。

ふと目をやると山側に入れそうな道があった。のぞいてみると山道になっている。入り口にザックを置いて山道に入り平らなスペースがないか探してみた。そしてなんとかテント1張り分くらいの場所がみつけることができた。登り口に戻りザックを回収、テントを組み立て中に入る。遍路小屋とは違い人工物が全くないような場所、人の気配が全くないどころか動物の気配を近くに感じるような山の中だった。それでもひとたびテントの中に入ってしまうと外界から完全に遮断され、慣れ親しんだ自分の部屋でくつろいでいるかのような安心感に包まれる。こうして一息つけたのは20時近くだった。



夕飯
疲れて早く寝たかったがお腹も空いていたのでちゃちゃっと飯を作る。

干し野菜を戻したところに干し肉と押麦をいれ、柔らなくなるまで煮る。干し野菜と干し肉の麦リゾットの完成。

2016-03-25 20.42.23_干し野菜を戻す

2016-03-25 20.56.43_干し野菜と干し肉の麦リゾット

干し野菜の旨みがいい出汁になってうまかった。レシピの詳細はこちら。
干し野菜の麦リゾットのレシピ



出納帳
※予算は10万円です。

お賽銭:20円
お接待:100円

【集計】
宿泊費:0円
風呂:0円
洗濯:0円
食費:0円
日用品:0円
お参り:20円

合計:20円/100円



ルート


・ルート:鴨の湯5:07-5:47藤井寺5:53-7:44長戸庵7:48-9:05柳水庵9:57-10:51一本杉庵(浄蓮庵)10:57-13:09焼山寺14:07-杖杉庵-ヘンロ小屋神山-19:30福原周辺(泊)
・合計時間: 14時間23分
・合計距離: 32.96km
・最高点の標高: 749m
・最低点の標高: 13m
・累積標高(上り): 2076m
・累積標高(下り): 1961m
4日目GPS(ヤマレコ)



ソライロノート
出納帳をつけ、GPSログをtwitterにあげ今日のやるべきことがようやく終わった。

誤差が大きいがGPSログ上の距離32キロ、累積標高2キロ。さすがに疲れるはずだった。疲労をなるべく残さないよう寝る前にストレッチをする。足の裏には昨日まではなかった血豆ができたいたので安全ピンで血抜きをしておいた。


「お遍路さんが苦しくて転がされてしまう難所」と言われる遍路ころがしに挑んだ4日目。20キロオーバーのザックを担いで登る焼山寺は、噂に違わずきつい道のりだった。だが僕にとってそれ以上にきつかったのは焼山寺を越えてからだった。足の痛みに耐えながら山を下り、2つの山を越えたあとのもうひと山、頼みにしていた遍路小屋宿泊禁止からの寝床場所探し。苦しくて転がされそうになるとはまさにこのことだった。遍路ころがしを越えた先に真の遍路ころがしがあった。

自分でなんとかするしかない状況の中で、なんとかしようと必死に歩き、実際になんとかなった。諦めずに歩けば道は開けた。そしてテント装備を担ぐとはこういうことなのだと思う。人様に怒られるような場所でさえなければ、テント1張分のスペースがあればどこでも寝れる。これが野宿遍路の強みなのだ。こういう風にしていけばきっとこの先も乗りきれるじゃないかと、、、。今日一日を乗り越えたことで、自分の中で妙な自信のようなものが生まれたような気がした。


長い長い一日がようやく終わった。



5日目-1に続く。


【ソライロ遍路準備編】
パッキング編
パッキング編2(食材)
自炊計画


徳島編
1日目-1 ソライロ遍路スタート!
1日目-2 お遍路の洗礼と逆打ち先輩との出会い
2日目 初めてのお接待体験
3日目 最大の難所焼山寺に向け万全の準備
4日目-1 遍路ころがし焼山寺に挑む
4日目-2 遍路ころがしを越えた先
5日目-1 人それぞれの遍路道
5日目-2 十三番札所大日寺~十七番札所井戸寺
5日目-3 地蔵越遍路道を越え初めての河原野宿
6日目-1 十八番札所恩山寺~十九番札所立江寺
6日目-2 心身ともに疲労困憊
7日目-1 遍路ころがし鶴林寺越え
7日目-2 小学校に泊まろう!
8日目-1 遍路ころがし太龍寺越え
8日目-2 二十二番札所平等寺から弥谷観音前休憩所へ
9日目-1 海沿いを歩き二十三番札所薬王寺を目指す
9日目-2 薬王寺と温泉とひとり野宿
10日目-1 室戸岬への長い道のりの始まり
10日目-2 牟岐町から海洋町へ、徳島最後の夜


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